日本人の賃金が上がらないのは物価に敏感だからという指摘もある。たしかに、日本人の値上げへのアレルギーは尋常ではない。ステルス値上げすらも買い控えの理由になってしまうのだから。

しかし、これは「卵が先か、鶏が先か」の議論に近く、そもそも長いこと賃金が上がらないからこそ、消費者が家計防衛のために値段に敏感になっているともいえる。その結果、値上げにシビアな消費者に対して値下げをすることで商品の魅力を訴求することを覚えた企業が、値下げをしても利益水準を保てるように人件費を抑えるべく非正規雇用の割合を増やし、投資を抑制するなどした。
https://toyokeizai.net/articles/-/541398
そうすると就労環境が悪く、雇用環境も不安定な労働者が増える。それはつまり、値上げにシビアな消費者の数が増えていくことを意味するため、企業はさらに商品を値下げして売る……という負のスパイラルに突入したのだ。