4月からの新生活で、住まいを変えた人も多いことだろう。特にこの1〜2年は、コロナ禍で多くの企業がテレワークに移行したことに伴い、都心から郊外に移住する流れが活発になった。
その中で住みたい街のランキングも大きく変動している。2022年「LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング(首都圏版)」の「借りて住みたい街」で2年連続1位となったのが、新宿から急行で約1時間かかる神奈川県の本厚木だった。

 これまで“絶対”だった通勤が実は不可欠ではないことに気づいた昨今。
コロナで様変わりした日常の風景に焦点を当てた書籍『ウィズコロナ時代に後悔しない 暮らしの新常識109』(小学館)では、出社の利便性から都心一辺倒だった賃貸ユーザーが、低家賃、生活環境、生活利便性等の理由から、徐々に郊外への関心を強めている現状を取り上げている。

 実際、東京の人口は26年ぶりに減少へと転じ、コロナ禍の影響が指摘されている。
前述の「借りて住みたい街」ランキングのトップ10を見ると、本厚木以外にも埼玉の大宮(2位)や西川口(5位)、蕨(8位)、千葉の柏(3位)や千葉(9位)がランクインしたほか、都内でも八王子(4位)や三鷹(7位)などの23区外が目立つ。

 2020年まで4年連続1位だった池袋を抑えて本厚木が2年連続で1位となった背景を、LIFULL HOME’S総合研究所の副所長でチーフアナリストの中山登志朗氏はこう語る。

「生活全般への不安が募り、郊外に拠点を移した方が良いと考える人が増えました。賃貸ユーザーは手軽に引っ越しができるメリットもあった」

 また、これには首都圏ならではの理由もある。
中山氏が続ける。

「首都圏は都心から1時間離れた郊外でも、駅前周辺の生活利便性は都心とそう変わりません。大阪だと1時間離れると景色も変われば言葉も変わってくる。賃料も、本厚木と池袋では倍も違う一方、名古屋・大阪・福岡は中心部と郊外の家賃に大差はなく、住み替えのモチベーションにならないのです」

 同ランキングによると、本厚木の1LDKの平均家賃は約7万円。2位の大宮は同約9万円、3位の柏は同約8万円と、いずれも10万円を下回る。

 厚木市周辺にはゴルフ場や温泉などのレジャー施設やハイキングを楽しめる山など、自然豊かな場所が多いことも魅力になっている。
コロナ以前の生活を望む気持ちとは別に、郊外に移るという選択肢が生まれたようだ。

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