ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、両国から小麦を大量に輸入している中東諸国で「パン不足」が深刻化している。
業者が小麦を調達できず生産が滞る事態も発生し、主食の価格急騰に市民の不満が増大。パン不足をめぐる混乱は、かつて中東の民主化運動「アラブの春」の遠因にもなっただけに、各国は対応に追われている。

世界最大の小麦輸入国エジプトでは、3月の都市部のインフレ率が10%超と約3年ぶりの高水準を記録した。押し上げたのは、主に穀物などの食料品。輸入小麦の8割以上をロシアとウクライナに依存しており、戦争の影響が如実に表れた形だ。首都カイロ近郊ギザに住む主婦ハナンさん(39)は「もう必需品しか買えない」と不満顔で話す。

エジプト政府によれば、小麦の備蓄は4月初旬時点で2.6カ月分。ウクライナでの戦闘長期化が懸念される中、小麦輸入先の多角化が急務で、米国、欧州、南米のほかインドからの調達も検討している。国内生産拡大による自給率アップも目指している。

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