培養肉の販売、世界で初めてOKを出したシンガポール この国ならではの危機感があった
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シンガポール中心部から車で15分、行列のできる屋台として知られる「Loo's Hainanese Curry Rice(ルーさんの海南カレー)」には2月末、珍しいメニューが登場していた。

ココナツミルクの甘みとスパイスのメリハリが利いた独特のカレーの上に並んでいたのは、米国の食品ベンチャー、イートジャストが開発した特殊なナゲット。
ニワトリの羽根の細胞から培養した肉と、植物由来の材料を使った「卵」製品でできている。

イートジャストでメニュー開発などを担うシェフ、ザック・ティンドールさん(31)が、揚げたてのナゲットを盛りつけてくれた。

ゆっくり味わってみる。カラッとしたころもの中から広がるのは、まさに鶏肉の味。奥歯ですりつぶすと、その風味が深く口の中に広がる。

おいしい。が、言ってしまえば「ただのチキンナゲット」でもある。

「どんな鶏料理にも合うよ。だって鶏肉だから」とティンドールさん。

(中略)


それでも、新食品への期待は大きい。背景にあるのが、コロナで高まった食料調達への危機感だ。

シンガポールは面積の限られた都市国家。食料の9割は輸入に依存している。それを少しでも改善しようと、30年までに必要な栄養素の30%は自給できるようにするのが目標だ。
小さな都市国家がめざす食品技術の合言葉は、“Grow More with Less(より少なく使い、より多くを育てる)"。培養肉は、その有望株のひとつなのだ。

(おわり)

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