https://news.livedoor.com/article/detail/22027316/
なぜ、朝日の編集委員が“安倍氏の代理人”を務めたのか。安倍氏は首相退陣後も新聞・テレビに積極的に登場し、ロシアのウクライナ侵攻後は、特に核共有についての議論提起に力を入れている。

 首相を辞めてもなお、メディアにそれだけの発信力があるのは、連続在任7年8か月の長期政権下で大メディアを取り込んできたからだ。

 安倍氏のメディア戦略は自ら新聞・テレビの最高幹部と会食を重ねて“懐柔”をはかる一方で、「中立・公平」を口実に報道内容に細かく注文をつけて“圧力”をかけるアメとムチの手法で行なわれた。

 巧妙だったのはNHKの岩田明子氏、TBS時代の山口敬之氏、テレビコメンテーターでは政治評論家の田崎史郎氏など、主要なメディアに“安倍応援団”の記者をつくり、巧みに官邸寄りの情報を発信させたことだ。

 2013年10月に放送されたNHKスペシャル『ドキュメント消費税増税 安倍政権 2か月の攻防』では、安倍氏がどんな覚悟と勇気をふるって消費税増税を決断したかが描かれ、岩田氏が総理執務室で安倍氏を独占インタビューする。まさにNHKが首相の宣伝番組の制作プロダクションになったかのようだった。

 そうして大新聞・テレビが次第に権力に刃向かう牙を抜かれ、安倍政権の“宣伝機関”へと傾斜を強めていくなかで、批判的な姿勢を保ってきたのが朝日だった。「森友学園」の国有地売却問題や加計学園の獣医学部新設問題を追及し、財務省の公文書改竄をスクープして安倍氏を追い詰めた。

 しかし、今回の報道介入問題で、朝日内部の“安倍応援団”の存在が浮かび上がった。元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が語る。

「NHK政治部の岩田記者は安倍首相の懐刀なんて言われていたが、話すことは結局、安倍さんの宣伝と受け取られかねない面があった。峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」

 朝日の峯村氏への処分もおかしいと続けた。