2015年の円安局面は、それ以前の傾向のまま、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」のもとで、日銀総裁に就任していた黒田氏が異次元緩和を進める中で続いた。

 異次元緩和が、アベノミクスの3本の矢のひとつだったことを覚えている人は多いだろう。

 これ以前には、2008年のリーマンショック(グローバル金融危機)を機に、1ドル=70円台まで円高が進み、輸出競争力の低下が深刻な懸念になっていた時期もあった。

 そうした中で、原油価格が当初は安定したこともあり、円安による輸出競争力の回復をテコに経済を上向かせようとしたことから起きた、そういう「円安」だった。

 とはいえ、次第に、企業が生産拠点を海外に移す産業の空洞化が進んだほか、福島第一原発事故に伴い各地の原発が運転を停止したことで、日本は化石燃料を使う火力発電に依存する体質に変わりつつあった。

 結果、「円安」の弊害が強く懸念されるようになり、1ドル=124円台だった2015年6月に、黒田氏は「さらに円安に振れていくことはありそうにない」と、ここは超えさせないという円相場の「黒田ライン」を意識させる作戦に出た。

 これにより、結果的に1ドル=125円近辺が円安の歯止めとなった。これが、この時の経緯だ。

 そして現在、「円安」は2015年を超えて、2002年のレベルに迫っている。歴史的な円安水準に達しているわけだ。https://news.yahoo.co.jp/articles/670d4ff69fb7356b9af1b90f4e18b818c68fc237?page=3