>>173
これを回避する方法は2つである。

1つは、民間金融機関に買わせて、それを日銀が市場で買うことである。これは、現在すでに行われている。

民間主体から見れば、いわゆる「日銀トレード」で、日銀が確実に買ってくれるから、政府から新規に発行された国債を引き受け、それに利ざやを乗せて、日銀に売りつけるのである。

この結果、日本国債のほぼ半分は日銀が保有することになってしまった。

問題は、これがいつまで継続できるか、ということである。

日銀は、継続性、持続性が危ういとみて、イールドカーブコントロールという前代未聞の、中央銀行としては最もやりたくない金融政策手段に踏み切り、国債の買い入れ量を減少させることに成功した。

逆に言えば、これ以上買うことの困難は現実に始まっており、無限に市場経由で日銀に引き受けさせることはできないのである。

それでも、政府が国債を発行し続けたらどうなるか。
民間金融機関は、これを引き受けるのを躊躇し、少なくとも一時的には中止するだろう。

このとき、政府がどうするかが問題である。政府の道は2つである。1つは、危機をようやく認識し、国債発行を減らすことを決意し、遅まきながら財政再建に取り組む、という道である。しかし、これまでの政府の財政再建の取り組みからして、この道はとらない可能性が高い。

そうなると、もう1つの道しかなく、日銀に直接引き受けをさせるように、法律改正をすることになる。理論的に日本では財政破綻は起きないと主張している人々は、この手段があるから、自国通貨建ての国債を発行しているかぎり、財政破綻しないと言っているのである。