>>176
借金残高が大きいとどうなる?

では、借金残高の大きさはまったく関係ないのか。500兆円でも1200兆円でも関係ないのか。

借金の大きさには、2つの大きな影響がある。まず第1に、借金残高が大きいと「こいつ返せるのか、返す気あるのか」という疑念を持たれ、新たに貸してもらえなくなる。その意味では、GDP比で250%でも財政破綻しないのだから、300%でも400%でも大丈夫、60%程度で破綻したギリシャなどとは日本は根本的に違う、という議論は間違いだ。

つまり、日本がこれまで破綻しなかったのは、政府に金を貸してくれる人がいたからで、今やそれが日銀しかいなくなりつつあるというのが問題であり、250%で破綻しないことは今後破綻しないことを意味しない。

何より、日銀に半分を買わせないといけないという現実は、まもなく破綻することを示している。

第2に、破綻したあとの再生の困難さに大きく影響する。日本にとってはこれが最大の問題だ。

ギリシャと違って「自国通貨建てで、国内で借金をしているから大丈夫だ」というのは、厳しい国際金融市場ではない、なれ合いの、そして政府の影響力のある金融機関と中央銀行が保有しているから、破綻がすぐには起こりにくい、という意味では正しい。

だが、それは逆に言えば、市場が鈍感であり、鈍感な投資家が保有している(鈍感に振る舞うことを強制されているともいえるが)ことを示しているのであり、破綻危機が近づいても、金利が上昇しない(国債価格が下落しない)という市場の警告機能がマヒしていることを意味する。

だから、日本政府の破綻は突然起こるのである。

そして、破綻後、政府の財政再建が非常に困難になる。国内の資金は使い尽くしている。個人の金融資産は銀行に預けられ、地域金融機関やあるいは半公的な金融機関、ゆうちょ銀行などに預けられている多くの部分は国債になっているから、返ってこない。

国民の金融資産の実質価値は激減してしまうのであり、国債の返済は先送り(リスケ)され、いつかは返済されるとしても長期にわたり、インフレ分は目減りするし、何より、すでに老後を迎えている多くの国民は貯金が今必要なのに使えなくなってしまう。

開き直って、財政破綻、デフォルトした場合、過去の借金は水に流してもらって再建するのが、政府破綻の場合は多い(実質ベースで半分程度返済される、つまり半分は棒引き)。