キヤノン純利益2割増 今期、半導体装置好調で上方修正:日本経済新聞
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キヤノンの2022年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比で約2割増の2500億円前後になる見通しであることが分かった。従来予想を約50億円上回る。半導体露光装置や監視カメラが想定よりも伸びる。インフレに伴い原材料価格が上昇しているが、設計の見直しなどでコストを下げ、製品を値上げして吸収する。

売上高は1割強増え、4兆円に迫りそうだ。従来予想から1000億円程度増える。22年12月期の市場予想の平均(QUICKコンセンサス)は15日時点で、純利益は2436億円、売上高が3兆7903億円。いずれも市場予想を上回る。26日に22年1〜3月期の決算発表で上方修正する方向だ。

半導体メーカーの設備投資が増え、半導体露光装置の販売が増える。事務機事業では在宅勤務の定着で個人向けプリンターの販売好調が継続するほか、オフィスへの出社率が回復していることで印刷量が増える。利益率の高いトナーなど消耗品販売や保守も改善する。

新たな成長分野として注力する監視カメラも好調に推移する。従来の監視や災害向けなどに加え、工場の遠隔管理やイベント会場などでの3密回避など用途が広がっており、画像解析ソフトの販売も伸びる。

足元で原材料価格や物流コストが高騰しているが、事務機やカメラなどで製品の値上げを進めるほか、単価の高い製品の販売比率を高めて影響を抑える。設計を見直して、製品の垣根を越えて共有部品を増やすなど、調達費も減らす。

キヤノンはドルに対して円が1円円安になると、営業利益で40億円の増益要因となる。期初の想定為替レートは1ドル=112円だが、足元の為替動向を踏まえ、円安方向に見直すとみられる。

22年1〜3月期の純利益は、前年同期比3%増の450億円程度になったようだ。事務機事業が持ち直したほか、円安や値上げ効果も収益を押し上げた。