https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/1063f7b5152c3957.html

米州機構(OAS、注1)は4月21日の常設理事会で、ロシアの常任オブザーバー国(注2)としての資格を停止することを決定した。
OASは3月25日にウクライナからの軍隊の撤退をロシアに求める決議を採択していたが、
ロシア側がそれを無視したことにより、今回の資格停止に至ったとしている。
ウクライナ各地で引き続き悲惨な残虐行為が行われていることから、ロシア軍がウクライナから撤退し、
外交的解決の道に戻るまで、資格停止措置は継続される。

今回の常設理事会での採決は、34カ国中25カ国が賛成票を投じ、賛成多数で採択となった。

しかしブラジル、メキシコ、アルゼンチンなどの中南米の主要国をはじめとして計8カ国が投票を棄権した。
ブラジルとメキシコは4月7日の国連人権理事会でのロシアの理事国資格停止決議でも棄権していた。
アルゼンチンについては、最近の国連総会のロシア非難決議や人権理事会での決議では棄権したり反対したりすることはなかったが、
政府としてロシアに対する非難声明は発出していない。

今回のOASでの決議についても、ロシア非難という点で米州の国々が一枚岩にはなっていない様相が浮き彫りとなった。

(注1)米州における唯一の汎米国際機関で、同地域の諸問題の解決にあたり中心となる機関。

(注2)総会や常設理事会など全ての会合に参加でき、代わりに様々なプログラムへの協力や財政的支援を行う。ロシアを除くと現在世界71カ国が常任オブザーバー国の資格を有している。