「小学生の問題だから簡単だよ」は禁句…少年院の教師が「これは算数ではなく数学」と強調するワケ

■少年院での教科指導が抱え続ける三重苦

 中学生および6割以上を占める中学卒業・高校中退者に対する教科指導の最大の目標は、基礎学力を身につけることには間違いありません。
しかし、時間的制約、さみだれ入院、基礎学力の問題という三重苦に加えて、
専科体制をとれない指導体制の問題が加わった宿命的な課題が横たわっているのです。

 矯正教育の柱のひとつである教科指導において、なぜ数学に着目したのか、お話をさせて頂きます。
前述した教科指導が抱える課題は、私が法務教官として採用されてから、一貫して変わらずにありました。

 劣等感から抜け出せず、学ぶ意欲が湧かない少年たちの問題は、
学びを諦めてきた彼ら自身の問題以上に、諦めさせてきた大人の側の問題が大きいと言えます。
とりわけ、数学では「3ナイ」現象と呼ばれる問題が少年たちを苦しめていました。
つまり、分からナイ、つまらナイ、役に立たナイです(秋山仁氏。「朝日新聞」2021年10月6日朝刊)。

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20220424-00056767-president-column