代理店は、白昼堂々、総務省の規制に違反しているのか。少なくとも、表向きはそうではない。
先ほどの看板をよく見ると、2ステップで割引が設けられていることがわかる。

1:「新規/のりかえ/機種変更/端末購入」で約7万円の割り引き
2:特定の料金プランとセットで2万2000円の割り引き

この2つを合わせると1円になる仕組みになっていた。
前者は、端末の購入だけでも割り引き対象となっているため、規制対象となった「セット販売」に該当しない。

後者は、通信契約との「セット販売」で許される割り引き上限額いっぱいだ。
こうして、規制の裏をかくようなスキームによって「1円販売」を可能にしているのだ。

だが、じつはこうした割引手法をとる代理店にとって最大のネックとなるのは、「端末だけ」を購入されてしまうことだ。
規制に反することなく「1円」で販売するためには、「端末だけほしい」と言われたら、
セット販売で値引きできる上限2万2千円プラス1円で販売せざるをえない。

いわゆる「転売ヤー」の格好の餌食になりかねず、現場では購入の際に「商品をその場で開封する」という条件をつけるところが多い。
開けてしまえば中古ショップへの転売価格が下がるからだ。それでも、5000円程度値が下がるだけで、転売を完全に防ぐことはできない。

担当者の態度が一変
そこで現場でとられているのが「水際作戦」だ。

筆者は先ほどの家電量販店で、本当に1円で購入できるのかを試そうと思い、窓口に行った。すると、
店員から「別のフロアでお並びいただきます」と言われ、2階の一室に案内された。
そこには、筆者と同じような客たちが希望のキャリアごとに並べられ、担当者が客の希望端末などを聞き取っていた。

「順番待ちなので1時間ほどかかるが、後で電話するのでそれまで店の外にいても構わない」と言われたので街をぶらついていると、
固定電話から着信があった。

「お待たせしました、iPhone12のご用意ができました」と朗らかに語る担当者。
そこで「端末だけほしいが、可能か」と尋ねてみると、態度が一変し、とたんに不機嫌になった。

筆「……端末だけで購入いただける分の在庫はなくなりました」

そんな、さっきと言っていることが違うではないか。

筆「さっきはあるといったのに、端末だけの購入と乗り換えでは在庫は別なのか」
https://news.yahoo.co.jp/articles/9902dd9f02790be835ed02eeecc72cdbed38ce49?page=1