ロシア外務省は27日、在ロシア日本大使館の外交官8人を追放すると発表し、
対露制裁を相次いで発動してきた岸田政権について「長年培ってきた前向きな互恵関係を破壊している」と批判した。
日本が今月、在日ロシア大使館の外交官ら8人を追放したことに対する報復措置を取った形だ。
露外務省によると、ロシア側は日本大使館の代表者を呼び出し、日本はウクライナ侵攻が始まってから
「あからさまに敵意のある反ロシアの方針を取ってきた」と指摘。
米欧とともにロシアに対する中傷を拡散させており、「日本はウクライナで活動するネオナチを支援している」とも非難した。
在日ロシア大使館のフェイスブックは27日、「ロ日関係の今後について」と題するモルグロフ露外務次官の発言を投稿した。
第2次安倍政権では「両国の関係に著しい前進が見られた」ものの、岸田政権がウクライナ侵攻以前から
「互恵的協力の解体」に踏み出したと批判。日米が日本海で実施している共同訓練にも言及し、
訓練の規模が拡大すれば「ロシアは自国の防衛能力強化のために報復措置を取る」と警告した。
一方、在ロシア日本大使館は27日、外交官の追放措置を受けて声明を出し、
ウクライナで多数の民間人が殺害されていることを「戦争犯罪」と糾弾。
「軍事的手段に訴え、今回の事態を招いたのは露側である」と抗議した。
近年の日露関係では、第2次安倍政権が平和条約の締結を目指して関係改善を図っていたが、
今年2月にウクライナ侵攻が始まると、岸田政権は米欧などと協調して対露制裁に踏み切っている。
これに対し、ロシア側は3月21日、対抗措置として平和条約締結に向けた交渉を打ち切る方針を発表。
北方四島の島民と日本国民が査証(ビザ)なしで相互訪問する「ビザなし交流」の停止も決めている。
https://mainichi.jp/articles/20220429/k00/00m/030/079000c