棍棒を作ったら100本近くも売れた…「試し殴り」に惹かれた人が続出
里山暮らしの31歳が実践する「都会より不埒な生活」
2022/5/1 10:00 (JST)
オフィス街の地下ギャラリーにずらりと置かれたさまざまな樹種、形状の棍棒が異様な存在感を放っていた。大阪市中央区で2月に開催された「大棍棒展」。来場者が「試し殴り」をする動画がツイッターに投稿されて拡散すると多くの人が詰めかけ、急きょ整理券を配る事態になった。
展示された約200本の棍棒のうち、3千~6万円の96本が10日間で売れた。主催したのは「全日本棍棒協会」なる任意団体。会長の東樫さん(31)は奈良県宇陀市の里山で暮らし、稲作や畑作、養鶏の日々の中で、棍棒も作っている。
会場となった大阪・北浜のホテル「THE BOLY OSAKA」の総支配人、間宮尊さん(31)は東さんの友人で、全日本棍棒協会の幹部。記者が訪れた2月の週末、会場は人が途切れることのない盛況ぶりで、間宮さんは「途中からびびった」と打ち明けた。
棍棒に今なぜ、都会に住む多くの人が惹かれたのか。そして、東さんとは何者か。(共同通信=松竹維)
▽子どもの頃を思い出した
「スギやヒノキは棍棒向きではありません。堅い木が実用的です」「これは2万円。形の面白さがある」。東さんは来場者に丁寧に説明していた。カシ、アオダモ、ヤマザクラ、ツブラジイ、サルスベリ…。展示した棍棒の樹種は65種ほどになった。
会場に来た40代の男性会社員はインターネットで展示を知った。「棍棒一つ一つの質感、重さが違う。削ったところの手触りはいいし感動した。山の中に秘密基地を作り、チャンバラの木を集めていた子どもの頃を思い出した」と笑顔で語った。
誕生日プレゼントとして、ヤマボウシの棍棒を買ってもらった40代の女性会社員は「握り心地と軽さから選んだ。護身用に山歩きに持って行く」。
京都から来た男子大学生が棍棒に持っていたイメージは「ゲームのキャラクターの初期装備で原始的な道具」。1万円のものを購入した。「とりあえずはオブジェとして飾る。これから自分にとってどんな存在になっていくのか楽しみ」
※略※
▽大学をやめて、生き物との関わりを日常に
東さんの出身地は大阪府富田林市。高校時代は精神的に不安定だったという。高校をやめる口実として「留学したい」と親に言い、1年で中退した。ただ、言い出した以上、本当に留学しないといけなくなりカナダの学校へ。だが言葉が通じないストレスから帰国。それでも「なまじ海外で生活していたから身についた英語」を生かし、関西大に進学した。
大学での勉強に興味は持てず、その一方で弓道部の活動に打ち込み、そのために大学に通う状況になった。3年で事実上部活を引退して休学。その後、大学もやめた。
将来やってみたいことは特段なく「生きる営み自体をやってみたらどうだろう。まずは食べることだ」と考えた。休学中に「自然農」を本などで学び、借りた畑で野菜作りを始めた。
子どもの頃から虫や動物など、人間以外の存在に親しみを感じていた。化学肥料や農薬に頼らず、微生物や虫などの力を借りる農業をやってみたかった。生き物の中には、もちろん作物の成長を阻害する存在もいる。「友好的であろうと敵対的であろうと、生き物との、いろんな関わりが面白かった。これを日常にしたいと思った」
▽貪欲や悪行によってこそ…
兵庫県で1年間働いた後、2015年に奈良県宇陀市に移り住んだ。理由は「大阪からそう遠くはなく、買い物には困らず、主食とする米を作る平たんな土地もあれば、山もあるから」。
※以下ソース※
https://nordot.app/888611824425533440?c=39546741839462401