ジョコビッチがモスクワオープン出場の可能性 制裁下のロシア大会に出場すれば波紋必至
テニス男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)が、ウクライナ侵攻に対する制裁下にあるロシアで開催が検討されている「モスクワオープン」に出場する可能性が出てきた。
スポーツ界ではロシアやベラルーシの選手を国際大会で出場禁止にしているほか、ロシアでの国際大会の開催も認められていない。男女の世界ツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)はテニス界では中立的な立場での個人の出場は認めているものの、10月にモスクワで予定されていたクレムリン杯は中止に。ロシアとベラルーシで行われるツアー下部のITF(国際テニス連盟)サーキット大会も無期限で開催中止となっている。
そうした中で、ロシアでは制裁を無視して今夏にモスクワオープンの開催を強行する計画が浮上。ロシアやベラルーシの選手による大会ならば問題はないが、そこに世界王者のジョコビッチが出場する案が出てきて物議を醸しているのだ。
ロシア国営通信社「RIAノーボスチ」は「ジョコビッチがモスクワオープンに参加する可能性がある。ロシアの名指導者でロシアとモスクワのテニス連盟理事でもあるウラジミール・カメルゾンが『出場について交渉が進行中である』と語った」と報じた。
カメルゾン氏は「ロシアとモスクワのテニス連盟は、近いうちに我々のスポーツを発展させるためのプログラムを始める。特に我々は夏にモスクワオープンを開催するべく取り組んでいる。ベラルーシ、中国、カザフスタン、ウズベキスタン、トルコなど他の国々からも選手を招待する計画で、我々はジョコビッチとも交渉している」と明らかにした。ジョコビッチに関してはイベントなどへの限定的な参加ではなく「プレーヤーとして完全な形での招待だ」と選手として大会に出場する方向で調整していることを強調した。
ジョコビッチは、ロシアやベラルーシの選手を出場禁止とした4大大会「ウィンブルドン選手権」を再三批判しており、母国のセルビアメディアなどがボイコットする可能性も指摘するなど〝ロシア寄り〟の姿勢が鮮明になっている。そうした中でロシアが創設する国際大会にまで出場すれば、制裁を進める世界のテニス界とは逆行し、さらに波紋が広がることは必至。今後の決断が注目される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/37f0a90964917d76621003c2381e6a82bdd3f459