第129回:あの世とこの世-九相を見る-
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「九相図」とは、屋外に置かれた死体が朽ちていく経過を9段階に分けて描いた仏教絵画です。この九相図は、仏僧たちの色欲(しきよく)を絶つために描かれたとされています。ここでは、穢土(現世)から離れるという意味を持つ「厭離穢土(おんりえど)」と「九相」について書かれた絵入りの版本『大経五悪図会』に描かれる「九相図」を紹介します。

1つ目は「死相(想)」。中央で床に伏せる女性と悲しみの中その周りを囲う女性たちが描かれています。この場面はまさに臨終(りんじゅう)、女性の綺麗な姿の最期を表しています。
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2つ目は「肪脹相(ぼうちょうそう)」。死体の腐敗が進み、ガスの発生により身体の内部から膨張してきます。美しかった姿は消え失せ、少しばかりの面影しか残っていないと記されています。
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3つ目は「血塗相(けちずそう)」。死体の腐敗が進み、皮膚が破れ、溶け出した脂肪や血液、体液が体外に滲みだしてきます。この段階までは、まだ人としての形が残っている状態です。
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4つ目は「乱壊相(らんえそう)」。死後日数が経ち、自然と身体が朽ち果て、腐敗により蛆虫(うじむし)が湧き強烈な匂いを放つと記されています。
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5つ目は「?食相(たんじきそう)」。悪臭により、食物を求める鳥獣たちが死体に集まり、喰らっていくことで肉体のほとんどがなくなっていきます。
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6つ目は「青?相(しょうおそう)」。すでに肉体は鳥獣に喰われ、骸骨の形となっています。
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7つ目は「焼相(しょうそう)」。版本内の説明では「焼葬」と記載されている「火葬」の場面です。
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8つ目は「白骨相(はっこつそう)」。焼かれた後、残った遺骨を土に埋める親族たちが描かれています
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そして最期、9つ目は「墳墓相(ふんぼそう)」。人は老若男女の差別なく、命終すれば石碑(墓)や法名という形だけが残ります。
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