https://news.yahoo.co.jp/byline/yamaguchikenta/20220503-00294366

メルペイの後払いサービスにおいて、利用限度額が突然「100円」などに大きく下がったとの報告がSNS上で相次いでいます。
メルペイによれば「AI与信」の仕組み上、あり得るとのことから、意外な落とし穴として注意すべき点になりそうです。

20万円あった限度額が100円に
メルカリの子会社が運営する後払いサービス「メルペイスマート払い」は、メルペイのiD決済やコード決済に加えて、Mastercardバーチャルカードにも対応しており、ネットやリアルの幅広いお店で後払いによる買い物ができるのが特徴です

メルカリの売上金を返済にあてられるなどの機能があり、すでにクレジットカードを持っている人の利用も増えているとのこと。
清算方法は翌月一括払いの「翌月払い」のほかに、リボ払いに相当する「定額払い」があり、後者を申し込むと指定信用情報機関の1つであるCICに情報が登録されます。

毎月の利用上限金額は、メルペイが決めた限度額の枠内で設定できます。この枠は「予告なく変動する可能性がある」と説明されており、
過去にも変動したとの報告をSNS上で確認できますが、5月1日からこうした報告が急増しています

特徴として、それまで20~25万円の枠があったにもかかわらず、突然「100円」や「1万円」などに大きく下がったとの報告が続出しており、
これまで延滞することなく返済してきたとの声も多いようです。

原因として、システムの不具合や、最近話題の「不正利用」対策ではないかと疑う声もありますが、メルペイに確認したところ「誤動作ではなく、また不正利用の観点とも異なり、
メルペイスマート払いの利用限度額の定期的な見直しによるもの」(メルペイ広報)との回答でした。

メルペイ社内でもユーザーから多数の反応があったことは把握しているようですが、限度額が大きく変わった背景として、メルペイが運用している「AI与信」における与信ロジックに見直しがあったことを挙げています。

「詳細はお伝えできませんが、当社では、お客様に安心・安全にサービスをご利用頂くため、返済能力調査を精緻化する取り組みを行っております。
その一環として弊社内のデータと法令に基づき提供される指定信用情報機関のデータ等を基に定期的に与信ロジックの変更を実施しています」(メルペイ広報)

その結果、これまでメルペイスマート払いで延滞などをしていない場合でも、別の要因によって限度額が「20万円から100円」などに大きく下がることはあり得る、というのがメルペイの回答といえます。

そもそもAI与信とは何なのでしょうか。メルペイは2021年4月に施行された改正割賦販売法に基づく「認定包括信用購入あっせん業者」の第1号として認定を取得。
メルカリの利用実績など独自のデータから与信審査をすることが特例で認められています

従来型の与信審査では「年収」や「勤続年数」といった属性情報を用いるのが一般的でした。筆者のような個人事業主はこの手の審査で不利になりがちでしたが、
AI与信であればメルカリでの買い物実績など別の観点からも評価してもらい、審査に通る可能性が広がります

その代わり懸念されるのが、借りすぎや多重債務といった問題です。もともと割賦販売法では、利用者の支払い能力を超える与信枠を設定することを禁じていました。
さらに改正法に基づいた新しい業者には、「延滞率」を適切に管理し、定期的に報告することを求めています略