撤去進まないまま2カ月、工法変更を検討 東電福島第一原発の汚染配管 甘い想定と準備不足がたたる

東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で、1、2号機間にある高濃度の放射性物質で汚染された配管撤去が難航し、東電は工法の変更に入った。
配管の切断作業はトラブル続きで、開始から2カ月たっても一度も切れないまま。想定の甘さと準備不足のツケで、作業は一から出直しとなる可能性がある。

東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は27日の記者会見で、「相当苦労している。別のやり方がないのか検討を始めている」と工法変更に初めて言及した。

現場は建屋の外では最も放射線量が高く、人が容易に近づけない。現行の工法は、てんびん状の切断装置(幅12メートル、重さ6トン)を大型クレーンでつるし、遠隔操作で直径約30センチの配管をつかんで両端にあるチェーン状の切断器具で片方ずつ切っていく。配管は長さ計135メートルあるため、26回に分けて切る。
東電は2月24日に作業を始め、これまでに切断を3回試みたが、いずれも失敗。切り方を微修正して敷地外で模擬配管を使って試験をしているが、小野氏は「うまくいかなければ、別のやり方を考えることになる」。関係者によると、東電は複数の大手ゼネコンに助言を求めてもいる。

難航する作業は、東電のずさんな準備が招いた。現場で使うものよりも小さいクレーンで調整した切断器具の設定を変えずに本番に臨み、器具が性能を発揮できずに断裂。配管を途中まで切ると自重でゆがんで刃が挟まって動かなくなるトラブル(3月27日)は、2年半前の1、2号機排気筒解体でも経験していたが、教訓にできていなかった。

後手後手の対応は、作業員が無用な被ばくを強いられることにつながった。切り損ねて強度が下がった配管の落下を防ぐため、4月20日には作業員9人が高線量の現場に入り、ワイヤロープで配管を固定。約2時間で最大0.8ミリシーベルトを被ばくした。小野氏は作業員が現場に行くことを「想定していない」と話していた。その想定こそ甘かった。

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