アングル:ウクライナの戦禍がアフリカ翻弄、パーム油高騰が生活直撃
アフリカのコートジボワールはウクライナから遠く離れている。しかし、実質的首都のアビジャンでジェネバ・ベレムさんが営むフライドビーンケーキ(豆を使った揚げ物)の屋台は、パーム油の価格高騰という形で戦禍に翻弄されている。
「もう売るのをやめたいと思うくらい。だって油の値段がこんなに上がったら儲けが無くなってしまう」。鍋の中の揚げ物をかき回しながらベレムさんは語った。
ロシアもウクライナも、熱帯の産物であるパーム油の生産国ではない。しかしロシアによるウクライナ侵攻は、複雑に絡み合った現在の世界経済にドミノ倒しのように影響を広げている。
戦争を一因としてパーム油の価格は過去最高値に跳ね上がった。パーム油はナイジェリアのジョロフライス(ピラフ)からコートジボワールのバナナフライまで、アフリカの食卓には欠かせない食材だ。
パーム油の輸出国インドネシアはこのほど、国内のパーム油価格の高騰を抑えるために輸出禁止に乗り出した。
「こんな状況に直面したのは初めてだ」と語るのは、農産物コンサルタント会社、LMCインターナショナルの創設者、ジェームズ・フライ氏。「衝撃をまともに食らうのは、大国の最貧困層やアフリカ諸国だろう」と言う。
実際、アフリカのサブサハラ(サハラ砂漠以南)では、家計支出に占める食費の割合が既に40%に達している。この割合は世界のどの地域よりも高く、先進国の17%に比べると倍以上だ。
https://jp.reuters.com/article/insight-palm-oil-africa-idJPKCN2MK0I7