通販サイトがツイッターで宣伝していた商品を購入したら、粗悪品や偽物が届いたー。インターネット交流サイト(SNS)でこんな投稿が相次いでいる。商品は洋服や雑貨、電化製品などさまざまで、注文先のサイトも別々。ところが、これらのサイトには奇妙な類似点があることが取材で判明した。いったい何が起きているのか。実際に商品を購入し、発送元を追跡してみると…。(時事ドットコム編集部 太田宇律)

「ツイッターを見て『富士山グラス』を買ったが、偽物ではないか」。東京都江戸川区にある伝統工芸品、江戸硝子(がらす)の窯元「田島硝子」には、2022年2月23日の「富士山の日」を境に、こうした問い合わせが殺到するようになった。3代目社長の田島大輔さんがツイッター上を調べると、複数の通販サイトが「工場が倒産してしまったため、在庫一掃セール進行中です」などとする虚偽の宣伝ツイートを拡散していることが判明。どのサイトとも一切取引がないのに、商品ページには正規品の写真や本社工場で働く従業員の動画などが掲載されていた。

富士山型に盛り上がった底部が注いだ飲み物の色に染まる富士山グラスは、国内外で約60万個を売り上げた田島硝子の大ヒット商品だ。これまでも偽物が出回ったことはあったが、田島社長は「うその宣伝までして偽物を売るなんて、ここまで悪質な手口は初めて。怒ってうちに電話をかけてくる被害者も多く、対応で業務に支障が出ている」とため息をついた。

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