── 山内家では墓参や法事などの年中行事を大事にされていた。任天堂を世界的ゲームメーカーに育て、“中興の祖”と呼ばれたおじいさま(山内溥)の影響だったのでしょうか。

はい。祖父は「成功」という言葉がとても嫌いだったんですね。一方で、祖父は「人は運を信じなければいけない」とも言っていました。
そして、こんなことも言っていました。

「世の中でうまくいっている人の言葉を金言のように聞いて、『なるほど』と言って真似をしたがる人がいるけれど、自分にはそれが理解できない」

「なぜなら、うまくいっているのは全て運だからだ」

経営者たるもの努力することは当然です。祖父も自分の理想を描いて、そこに到達しようと仕事に全力で取り組んでいました。
成功もあれば、失敗もあった。倒産の危機すらありましたから。
そんな祖父だからこそ、最後には「運」を天に任せることも大事だとも言っているんですね。

──まさに「任天堂」の名の通りですね。

どんなに努力してもやはり運がなければ成功できない。でも運はコントロールできない。
その自分にはどうすることもできない「運」に恵まれるためにも、祖父は墓参や先祖供養などをきちんとやっていたのかなと私の中では解釈しています。

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