米資産運用会社シエラ・インベストメント・マネジメントの共同創業者デービッド・ライト氏(78)は、人生最大の弱気相場に備えている。同社の運用資産額は約100億ドル(約1兆3000億円)。

  同氏の運営するシエラ・タクティカル・オール・アセット・ファンドは、世界金融危機で市場がパニックに陥った2008年に損失をほとんど出さなかった。新型コロナウイルス禍が相場を直撃した2020年の損失も比較的小さかった。約20年前のドットコム・バブル崩壊時にも、同氏が運営する別のファンドは損失を免れたという。

  しかし、これらの時代とこれから先の相場展開は比べ物にならないとライトはみている。今年に入って株式と債券の相場はすでに大きく下落しているが、一段の下げが待ち構えていると同氏は語る。

  同氏はインタビューで「私の人生で最大の弱気相場に入っていると思う」とコメント。野球に例えるなら「今は2回の途中だ。まだまだこれからだ」と続けた。

  最近、弱気派からは同様の指摘が相次いでいる。ロシアのウクライナ侵攻、米金融当局による積極的な政策引き締め、インフレ高進、中国が新型コロナ対策で実施しているロックダウン(都市封鎖)など、懸念材料には事欠かない。

  一方で米金融当局がまとめたデータによると、株式相場の上昇により、米国の家計資産は過去最大の150兆ドルに達し、米経済の6倍余りの規模に膨れ上がった。

  こうした状況について同氏は「これほど多くの純資産を株式に投じている国は地球上に他にない」と指摘。「しかし、われわれは非常に大きな自己満足のピークにいる」と警鐘を鳴らした。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-04/RBD2QMT1UM1201