スタンフォード大学の研究で判明、将来の「働かないおじさん」を見分ける"意外な着眼点"

■30代に「給料泥棒」扱いされる50代…

 「50代の社員の扱いには、うちの会社でも手を焼いてますよ。
でもね、30そこそこの若造が、まるで給料泥棒みたいに言うもんだから、無性に腹が立っちゃいまして」

 こう話すのは700人の従業員を抱える企業の社長、高野さんだ(仮名、62歳)。

 会社では50代社員を批判する側の社長さんが、家で若造=息子(某大手企業勤務、32歳)の辛辣(しんらつ)な物言いに憤った。
勢いあまって、「若手にはない底力がベテランにはあるんだ!」と擁護(ようご)したものの、ついぞ息子を納得させることができなかったという。

 ベテランにしかない底力──。

 確かに、ある。

 私自身、そう繰り返し訴えてきた。「50代をなめるなよ」と。
一方で、若い社員たちがベテランを毛嫌いする気持ちも、痛いほどわかる。
なにせ、生まれた時代がちょっとだけ違うだけで、就職できる会社も、稼げるカネも、雲泥の差がある。

■若手の本音「シニア社員は辞めてくれ」

 “底力”の詳細は後ほどお話しするとして、まずは息子の圧勝だった、高野さん親子のやりとりからお聞きいただこう。

「久しぶりに息子と酒を飲みましてね。上司の愚痴をこぼす息子を、笑いながら聞いてたんです。
会社員にとって、上司批判は最高に旨い酒の肴(さかな)ですから。ああ、こいつもやっと一人前になったなあ、なんて思ったりしてね。

ところが、シニア社員の文句を言い始めた。“働かないおじさん”っていうだけなら聞き流せたんだけど、
『コミュ力が低い』だの、『エクセルもまともに使えない』だの、『役職定年になっても、会社にいるとか意味あるのか』だのと、けちょんけちょんです。
挙げ句、なんて言ったと思います? 『シニア社員が異動してくると迷惑だから、辞めてほしい』って」

「うちの会社でも役職定年になった途端、やる気を失うシニア問題は頭痛の種です。
でもね、目の前でまるで給料泥棒みたいに言ってるの聞いてたら、無性に腹が立っちゃいましてね。

そもそも“役定”は、後進に道を譲るためのものでしょ。年齢で区切るのは、若手にチャンスを与えてるわけです。
年上部下をどう使うかも、若手管理職の腕の見せどころです。
なのに、おっさんたちのせいばかりにするので、つい、『若手にはない底力があるんだぞ』って言ってしまったんです」


■50代、本当は何ができるんだろう

「そうしたら、『いい時代に入社しただけでしょ。英語もまともにできない人ばっかで、50代は退職金もがっつりもらえるし、甘やかされすぎ。
だいたい会社の中だけで生きてるから、視野が狭い』って反論してきた。

いやあ、参りました。
会社では私も、安心だけを求めるやつはいらない。
自分で決める、動く、まわりを動かせって、50代社員に喝(かつ)を入れてるんですが、面と向かって言われると案外しんどいもんですな。自分のこと言われてるみたいでね。
実際のところ、50代社員の強みってあるじゃないですか。底力が。でも、息子を納得させられなかった。そんな自分も情けなくてね。本当、どうなんですか?」



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