大型連休にお薦めの本は『何もしない』 “日々は無為に過ごしてよい”?〈週刊朝日〉

 はやいもので大型連休。ところが流行り病いは収束のめどすら立たず、小旅行でさえ憚られる時世になおあります。
はて、今年はどうしましょうか。

 ひとつ、まことに有意義な過ごしかたを提案します。

「何もしない」

 ズコー、と前方に転んだかたには、タイトルそのままのこの本をおすすめしましょう。
『何もしない』(ジェニー・オデル著、竹内要江訳、早川書房)。

 生産せよ、消費もせよ、という資本主義のかけ声に加えて、インターネットに常時接続された現代社会では、
ちょっとこれを見てごらん、ほしいだろう、つながりたいだろう、という「注意経済」が蔓延しています。
そして気づけば何かを「させられて」いる──。

「私が定義する『何もしない』の重要なポイントは、リフレッシュして仕事に戻ったり、
生産性を高めるために備えたりすることではなく、
私たちが現在『生産的』だと認識しているものを疑ってかかるということだ」

 休みの日くらい「何もしない」をするのがよい。
フランスの社会主義者が19世紀末に世に問うた『怠ける権利』(ポール・ラファルグ著、田淵晉也訳、平凡社ライブラリー)
をさらに手に取れば、自信をもって日々怠けることができるでしょう。
いまある社会は歴史的な形成物であるに過ぎません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c226ab87026bca56abc7703c3a0fcfbc049eaf80