そんな素人がなぜ、観光船運航会社の社長になれたのか。

 元陶芸家だった桂田社長は8年前、地元神社の宮司で、長年、斜里町の町会議員を務めていた父・鉄三氏の事業を引き継ぎ、宿泊施設を営む「しれとこ村」の代表取締役社長に就任。
知床遊覧船を前の経営者から買い取ったのは、6年前だ。
桂田社長は地元の観光船4社でつくる「知床小型観光船協議会」の会長を務めているが、他社より1週間前倒しして今季の営業を開始。その初日に事故が起こった。

「斜里町ウトロは観光で成り立っているので、観光業者の立場が強い。
その傾向は世界遺産に登録されてから、ますます顕著になった。
元町議のお父さんが創業者で、複数の宿泊施設を経営している桂田家は、町の発展に貢献したとされ、一目置かれる存在。
父親の鉄三さんは何かを決める際、しっかり考えを主張する一言居士なところがある。
観光協会を含め、他の業者も鉄三さんには頭が上がらず、桂田家はどんどん事業を拡大していった。
観光船と宿泊業をやっているのは精一さんのところだけで、船と宿をセットにして売り上げを伸ばしていった。
事故後、なかなか会見を行わなかったのも、注意できる立場の人がいなかったからです」(別の地元関係者)

 杜撰経営が招いた観光船沈没事故により、地元観光業が受けたダメージは計り知れない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e4795cc79687dbe14e5cefcb0b304b1039dc05e