2021年8月にタリバン政権が復活して以来、アフガニスタンでは経済的な負の連鎖により、人口の半分以上が人道支援が必要なほどの貧困に陥っている。こうしたなか、人々は生きていくため、我が子を売らなければならない状況に追い込まれている。

カングール・サディキは仕事を失い、多額の借金を抱えていた。彼の子供たちはお腹をすかせたまま1日を終えることが多く、暖房のない家で震えていた。タリバン政権が発足して半年が経ち、彼は3人の娘を「サバイバル」という視点から見るようになっていた。

「家族全員が死ぬより、娘の1人を売って、残りの家族を救ったほうが良いと思ったんです」とサディキは言う。

彼が売った娘は、3歳のザーラだ。そしてそのザーラを買ったのは、裕福な50歳の男性だった。すでに妻帯者だが、新たな妻を探していた。

ザーラが売られた額は500ドルだった。

(中略)

12月、サディキは彼に借金を申し込んだ。彼の意図が明らかになったのはそのときだった。サディキの3人の娘のうち、1人を買い取ると申し出たのだ。

サディキが決断するのには2時間かかった。

「彼に言われたときはショックでした」とサディキは言う。「でも、それから自分の状況を見つめ直しました」

サディキは上の娘のどちらかを差し出そうとした。7歳のノズダナか、10歳のシャイダだ。けれども、相手はすでにザーラに狙いを定めていた。

「『私は一番下の子が欲しい。何もわかっていないから』と彼は言いました」とサディキは言う。

1月、ザーラの買い手は頭金100ドルを持って戻ってきた。そして、3ヵ月以内にザーラをイランに連れて行くことを要求してきたのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8506a26f0e14410dd64c3424ac814ed2cac7913d?page=1