1 事案
佐々木さん(仮名)は、ある日YouTubeで、特定の芸能人Aをやたらとこき下ろすような動画を見て、
気分を害し、「そのような動画を上げるのはやめた方が良い」というコメントをしました。
すると、投稿者から「つまらんコメントしてくんなよ。お前非表示にするな。」と返信が来て、そのコメントは見れなくなってしまいました。
「このまま放っておいて、Aに対する根拠ないアンチ意見だけ残るのは良くない。」と思った佐々木さんは、
その動画の概要欄に書いてあったその動画投稿者のブログと思われるサイトに移り、
そのブログの記事に、「Aを根拠なくこき下ろすのはよくない。YouTubeもやめた方が良い。」とコメントしました。
すると、後日、契約するプロバイダから意見照会書が佐々木さんの自宅に届きました
(意見照会書=発信者情報開示請求がなされたとき、請求を受けたプロバイダから投稿者に意見を求める書面
発信者情報開示請求=あるネット上の投稿をした者の個人情報取得を目指した請求)。
その意見照会書の内容は驚くべきものでした。佐々木さんのした投稿は、
「Aを根拠なくこき下ろすのはよくない。YouTubeもやめた方が良い。あと、お前殺しに行くからな。覚悟して待ってろよ。お前は死んだ方がいいんだから。」
という内容になっていました。
太字部分が付け加えられています。
慌てて佐々木さんは弁護士に相談しました。
2 どう対処する?
私は、このような偽造開示請求の相談を受けたのは初めてでしたが、
このような請求はこれまでにも無かったわけでもないようです。
ポイントは「ブログにコメントしたこと」です。
ブログによっては、ブログ管理人が閲覧者ののコメントを勝手に編集することができるのでこのようなことが起こるということだと考えられます。
本当にとんでもない請求です。この請求自体、不法行為と言ってもいいと思います。
では、どのような反論をすればいいのでしょうか?
実際にした反論を紹介します(意見照会書に対する回答書における反論)。
(1)実際にコメントの偽造ができるのか検証してみた
ご依頼を受けてから、その請求者の使っていた無料ブログで新たにブログを開設しました。
意見照会書を見れば、請求対象の投稿がなされたページのURLが載っていますから、それで請求者の使っている無料ブログが判明しました。
そして、記事を作り、別端末からコメントを書き込みました。
管理者アカウントでコメントを見ると、コメントの下部に「編集」というボタンがありました(左下矢印部分)。
何とこの「編集」を押すとコメントの編集ができてしまいます。
これによって、コメントの偽造が可能になるのでしょう。
これら偽造に至る一連の操作を証拠化して、容易にコメントの偽造ができることを証明することにしました。
http://lawer4715.livedoor.blog/archives/14337329.html