北海道の知床半島の沖合で、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没し、14人が死亡、12人が行方不明になってから、14日で3週間です。
 杜撰な安全管理などが次々に発覚する中、ちょうど1年前、船長の求人を断っていた男性が、すべてが“素人”で、がく然としたという運航会社や社長、船長の実態をあらためて語りました。

 男性は現在、オホーツク地方の遊漁船の船長で、去年4月、運航会社「知床遊覧船」の船長の求人に応じ、現地を訪れていました。
 桂田精一社長と面談、陸揚げされていた「KAZUⅠ」の船体も目の当たりにし、がく然としたといいます。

・船長の求人を断った男性
「先端あたりですね。古い船ということもありますが、船底を見るとボコボコしているし、FRPで補修した跡や、ペンキを塗り直しているけど、わかるような傷がありましたね。(補修を)素人がやっているぶんについては、いつ壊れてもおかしくないかなと」

「知床遊覧船」の船長は当時、沈没した「KAZUⅠ」の豊田徳幸さん1人。男性も、オホーツクの海、知床の海を知るだけに、話をするうちに不安ばかりが募ったと話します。

・船長の求人を断った男性
「(知床の観光コースは)浅瀬や、岩と岩の間をすり抜けるとか、干潮満潮によって、船をこすったり、こすらなかったりするっていう非常に危険なルート。岩場の岸で座礁してしまったら、波で叩かれちゃう」
「ベテランの船長がいて、2~3年、付いてもらって、初めて(自分も船長を)やれるかなという感覚。それなのに、ベテランの船長が退職してしまい、豊田さん1人。これは難しいんじゃないかと」
「給与体系や休みのことも話したが、僕が、どれだけ(船舶の)知識があるかもたぶん、桂田社長はわかっていなかった。社長自体、船舶の知識がないので」

 本気で求人に応じることを考えていた男性は、元従業員からも船の装備や安全管理について話を聞いていて、結局、断ることを決めました。

・船長の求人を断った男性
「バッテリーがダメになって、新しくしたから『オートビルジーという海水をくみ上げるスイッチを切っていた』という話を聞いた」

https://news.yahoo.co.jp/articles/111fc01fd10bf3c405234b97c5fc1f97afc1b828