桑野さんは太陽光発電の研究を始めて半世紀。「業界の生き字引」のような存在だ。

余った電気は電力会社に売り、足りないときは電力会社から買う。いまは珍しくない仕組みだが、当時は違った。
「電力会社の人には、なんで桑野さんちの余った電気を買わないといけないんだと言われた」

送電線につなぐ制度がなく、役所や電力会社を説得して実現させた。
94年度には住宅用太陽光発電の設置費用の半額程度を補助する制度ができ、太陽電池の生産に弾みがついた。
「産業政策によって日本の太陽光は世界一になった。その後の衰退は、他国の政策の方が優れていたということではないか」

90年代後半~00年代半ばは、日本メーカーの黄金時代だった。
シャープ、京セラ、三洋電機(現パナソニック)、三菱電機が世界市場を席巻。
この4社だけで世界の生産量の半分近くを占めた時期もあった。

https://www.asahi.com/articles/ASQ5B2V4PQ59ULFA035.html