交流サイト(SNS)などでスカウトした女性を性風俗店に紹介したとして、大阪市内のスカウト集団が逮捕された。かつてスカウトは繁華街での声かけが中心だったが、新型コロナウイルス禍で外出が減ったことなども背景に、SNSを通じた勧誘が活発になっている。アルバイト感覚で安易に誘いに乗る女性の増加も懸念され、警察当局は警戒を強めている。
「今何されてるんですか」「仕事探してるなら紹介しますよ」
今回逮捕されたスカウトマンたちは大阪・梅田の商業施設「HEP FIVE(ヘップファイブ)」周辺の路上で女性に声をかけていたほか、SNS上で自身の写真を投稿する女性らを標的に勧誘のメッセージを送っていた。
近年のスカウト事情について、過去に東京・池袋でスカウト業をしていた男性(37)は「当時は路上で風俗店勤務の経験がありそうな女性を狙ってスカウトしていたが、今はSNSでの勧誘活動が主流」と話す。
ターゲットとなるのは、SNSのツイッターやインスタグラムなどで、「#高収入」「#保障高め」などと投稿している女性だという。実際にツイッター上では、「#風俗」「#スカウト」のハッシュタグとともに自撮りをアップしている女性に、スカウトマンを名乗る人物が「稼げるところを紹介させてください」などとメッセージを送っていた。
男性は、SNSなら全国の女性を勧誘できるとし、「路上のように現行犯で警察に捕まることもないので効率がいい」と説明。また、「ネット世代の若者にすれば、路上で話しかけるより信用してもらいやすい」と話し、両者にとってのメリットが大きいとする。
ただ、性風俗店やキャバクラでの勤務、アダルトビデオ出演などに勧誘するスカウト行為は違法だ。紹介先で受け取るはずの報酬から多額の手数料を天引きされるなど、トラブルになるケースもある。
大阪府警幹部は「スカウトの中にはナンパを装って言葉巧みに勧誘し、違法店で働かせようとする者もいる」とし、「安易に連絡先を教えず、もし迷惑行為があればすぐ警察に相談してほしい」と呼び掛けている。