神戸商工会議所の家次恒会頭(シスメックス会長兼社長)は9日の定例会見で、地域経済の現状について
「(物価上昇の圧力の中で)企業は歯を食いしばって耐える厳しい状況だが、新型コロナウイルスの影響が少し落ち着き、飲食や宿泊関連が上向き始めた。まだら模様だ」との認識を示した。
活性化に必要な政策として「GoToトラベルの再開などを早急に実行すべき」と述べ、政府には迅速な対応を求めた。
家次氏は「円安やコスト上昇に関して地元企業から悲痛な声が上がっている。持ちこたえられるよう、商議所が生産性向上などの支援を強化する」と表明。
同時に、国や自治体に向けて「都市整備などの公共事業も必要だ」と訴えた。
金利を上げて景気の過熱を押さえ込む米国との金利差拡大が、円安の加速を招いている。
景気刺激のため金融緩和を続ける日銀の政策については「日本は金利が上がると政府債務が膨らむジレンマがある。バランスが大事」と現状を容認する姿勢を見せた。
ただ、米国の追加利上げには「何らかの形で日本も追随せざるをえない。原材料価格が上がる中で(の円安)はダブルパンチで、資源小国の日本は大変厳しいところを突かれている」と、懸念を示した。
会見に同席した尾野俊二副会頭(みなと銀行特別顧問)も「物価上昇と景気の減速懸念が同時に来る激動期。過去のデータは少なく、(政策や経営の)判断は難しい」と厳しい表情。
また、國井総一郎副会頭(ノーリツ会長)は「中国の都市封鎖で部品の供給が滞り始め、(ロシアのウクライナ侵攻で)サイバー攻撃が増えている」と明かした。
その上で「企業規模によらず受発注ができない事態を想定すべき」として、全ての製造業にリスクがあると警鐘を鳴らした。
また、ウクライナ情勢に関して家次氏は「他国の領土を力ずくで奪うのは21世紀では考えられない」と強調。長期化への懸念も示した。(高見雄樹)
https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202205/0015287246.shtml