小児性愛者をSNSを使ってあぶり出し、ストリーミングなどで晒し上げる「小児性愛者狩り」をする一般市民のグループが世界にはあるのだという。子供を狙った性犯罪は、どんな理由があろうと許されないものだ。だが私刑とも言えるこの活動は正義と言えるのだろうか?

実際にこうした「狩りグループ」に所属していたという筆者が、3年間のうちに学んだこととは。

SNSで狩りをする

あなたがこの記事を読み終えるまでに、子供への性犯罪が少なくとも1件は報じられていることだろう。アメリカ国内では子供への性犯罪が9分に1回発生していて、イギリスでは7分に1回に近づきつつある。

子供に対する性的虐待は社会に蔓延するおぞましい犯罪だ。だがこれは、容疑者を捕まえればそれで解決するような問題ではないと警察も認めている。

子供への性犯罪は、社会病理といってよいくらい根深い問題だ。ジミー・サヴィル、ジェフリー・エプスタイン、ラリー・ナサールといったセレブのみならず、カトリック教会の枢機卿や司教や司祭らまでこの犯罪に手を染めていた。

こうした性的虐待事件が大々的に報じられると、自分たちの手で解決を試みる者も現れた。子供を性的に搾取する犯罪者を手っ取り早く捕獲するツールとして彼らが利用するのは、ソーシャルメディアだ。彼らは“ペドハンター”と呼ばれる。

ペドハンターは子供を装ってネットに潜伏し、性犯罪者からの性的な接触を待ち構える。「あなたが話しかけている相手は未成年者です」との警告を無視し、性的行為が目的の誘惑(グルーミング)を行っている充分な証拠をつかむと、それをライブ配信して暴露するのだ。

彼らのようなおとりに向かって、現実の子供を相手にしているかのような会話が交わされた場合でも有罪決定の有力な証拠となりうる。これはいくつかの先例からもわかっていることだ。

この手のおとり手法的な「ペド狩り」が行われるのは公共の施設(性犯罪者は子供に対し、公園やショッピングモールで会おうと持ちかける)だったり、犯罪者の居所だったりする。

イギリスだけでも、2021年に150以上のペドハンターグループによるペド狩りが実行された。彼らによって暴かれた件数はペドフィリアの容疑者と直接対峙したケースも含めて1148件にのぼる。うち数百件は、彼らがつかんだ証拠から訴追に至っている。


https://courrier.jp/cj/288531/