そのできごとは、アメリカの人類学者のオーウェン・ラブジョイ教授が唱えた「食物供給仮説」というものらしい。
詳しい話は、人類が二足歩行をする必要に駆られた瞬間にさかのぼる。
そもそも、人類が歩き始めたのはなぜか。それまで主な食料は高い場所にある木の実などだったが、あえて地上に降りて慣れない移動手段を選んだのには何か大きな理由があったはずだ。
それは、木の実を採れない仲間に食料を届けてあげるため。ラブジョイ教授は「オスが直立二足歩行で自由になった手で食物を運び、特定のメスに供給した」と推測している。
なるほど。食料を効率よく運ぶためには、口ではなく両手を使って抱えるのがいい。メスはより多くのプレゼントを持ってくるオスを好むため、次第に二足歩行の上手な個体が選択されていった。

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