神奈川県真鶴町の選挙人名簿が流出したことで、町長選と町議選で個人情報が不当に利用され、公平な選挙に参加する権利を侵害されたとして、町民48人が松本一彦町長(56)らを相手取り、総額約1050万円の損害賠償を求める訴訟を、横浜地裁小田原支部に起こしたことがわかった。

原告側が17日付で訴状を郵送したことを明らかにした。松本氏は2020年、有権者の住所・氏名などが記載された選挙人名簿をコピーし、20年町長選に利用したとされ、本人も事実関係を認めている。松本氏はこの町長選で初当選した。

21年町議選では松本氏から名簿を受け取った3候補者のうち2人が当選。原告側はこの2人も提訴した。2人のうち1人は16年町長選に立候補した青木健元町長で、原告側はこの町長選でも松本氏から青木氏に名簿が渡ったとしている。また、名簿を流出させた選挙管理委員会の元書記長にも損害賠償を請求している。

原告側は訴状で、松本氏らが「他の候補者と比較して、労せずして有権者の氏名や住所などを知り、効率よく選挙運動ができた」と指摘。「個人情報を被告の支援者にまで開示され、多大な精神的苦痛を受けた」と訴えている。(村野英一)

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