カナダのサスカチュワン大学生物学研究者のナッパー博士は「鼻くそを食べると人の免疫機能は強化される」という仮説を立て、数年前から研究を進めている。

 ナッパー博士は、「進化の観点からすると、私たちは非常に汚い環境のもとで進化しました。そして人々が持っている身の回りを清潔に保ちたいという欲望は、本来は私たちにとって有益ではないのかもしれません」と語る。そして鼻くそを食べるのは「自然の予防注射」といえるのだとテレビのインタビューで語った。

 驚くべきことに、ナッパー博士と同じ説を唱える研究者は少なくないのだ。

 ハーバード大学、そしてマサチューセッツ工科大学の研究者たちを含む多くの学者は、鼻くそは良いバクテリアの塊なので、「子どもが鼻くそを食べるのを両親は汚いと言ってやめさせるべきでない」と言う。そして、鼻くそを体内に取り込むことで呼吸器感染症、胃潰瘍およびHIVに対しても防御できる可能性があるとも指摘するのだ。

 またアメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)の機関誌に掲載された論文によると、鼻くそを食べることで歯に虫歯菌が付着するのを防ぐことができるともいう。研究者たちは鼻くその利点を使って、合成練り歯磨きとチューインガムの開発に取り組んでいるという。

 またオーストリアの肺専門医であるフレドリック・ビシンガー博士は、鼻をほじる人々は体調が良く、より健康で幸せな生活を送っているという調査結果を発表した。

 特に先進国に住む人々は清潔な環境を追い求めてきた。そして皮肉なことに先進国にはアレルギー患者が多く、発展途上国にアレルギー患者が少ないという事実は、この科学者たちの説を裏付けるものかもしれない。

 人間はある程度の菌・ウイルスと接触していた方が免疫機能がよく働く。その意味で鼻くそを食べる行為は体内の免疫機能改善につながるらしい。

https://tocana.jp/2022/05/post_235379_entry.html