ウクライナの国営電力会社「ウクルエネルゴ」は18日、ロシア軍支配下にあるウクライナ国内の原子力発電所からロシアに送電するようロシア側から求められ、「物理的に不可能」として拒否したと発表した。ロイター通信が報じた。

【図解でわかる】ウクライナ侵攻の状況

 報道によると、ロシア軍が掌握したウクライナ南部のザポロジエ原発について、ロシア側はウクライナが利用料を負担し、発電した電力をロシアに供給するよう求めていた。

 ウクルエネルゴは声明で、「ウクライナの送電網は現在、ロシア側の送電網と物理的につながっていない。従ってウクライナ側からロシアへの電力供給は不可能」と述べた。同社によると、ザポロジエ原発はウクライナの送電網と接続しており、送電の管理はウクライナ側が行っているという。

 ロシアによる侵攻を受け、ウクライナは送電網を欧州側とも接続。電力不足などの事態に備えるとともに、エネルギーの「脱ロシア依存」を進める欧州に対して電力の輸出拡大も想定している。ロシア側は自国への送電を求めることで、ウクライナと欧州の電力融通を不安定にする狙いがあるとみられる。

 ザポロジエ原発は6基の原子炉を備える欧州最大規模の原発。ウクライナの原子力規制当局は3月4日、同原発がロシア軍に掌握されたと発表した。制圧時、原子炉の近くにある5階建て研修施設で砲撃によるとみられる火災が発生し、ウクライナ非常事態省によると、約2000平方メートルが焼けた。【ブリュッセル宮川裕章】

https://news.yahoo.co.jp/articles/356a3cf6909424e693ef5ef2cc487efdaeaee7c6