ライバルの教団も動き出した。加盟教団の公称信者数を合わせると約1200万人の「新日本宗教団体連合会」(新宗連)は「反創価学会」を旗印に結束し、2009年の総選挙では当時の民主党を支持して政権交代の原動力になったが、その後、自民党が政権奪回すると結束力を失っている。
その新宗連に新たな動きが起きている。宗教雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大氏が語る。
「多くの教団が加盟する新宗連はアンチ創価学会の他に統一した政治理念があるわけではない。保守色が強い教団も多い。しかし、新宗連の中心的存在である立正佼成会の庭野光祥氏(次期会長)は核廃絶や環境問題に関心が高く、政治的にはリベラル派で立憲民主党支持に傾斜している。新宗連内部の保守派には不満もあり、保守派の代表格ともいえる崇教眞光は下村博文・元文科相との情報交換などを通じて自民党との人脈を強化しようとしているように見える」
崇教眞光は「情報交換は致しておりません。年に数回、下村代議士の事務所からニュースレター(国政報告)は届いております」と答えた。
一方、新宗教団体きっての“タカ派”とされ、新宗連を脱退している「生長の家」では逆に3代目総裁の谷口雅宣氏が安倍政権の安保法制に反対を唱え、自公政権不支持を表明(2016年)した。“リベラル派”に舵を切った立正佼成会と生長の家が接近しているとの見方もある。新宗教界が保守とリベラルに大きく分かれつつあるのかもしれない。
「立正佼成会のリベラルへの傾斜も、新宗連内部の保守系教団の自民シフトも、新宗連を通じた従来の政治参画システムが機能しなくなり、新しく政治に食い込んでいくスキームを探る動きだと考えられます」(小川氏)
創価学会だけに政治力を独占させまいということか。