「世界中のトウモロコシが中国豚に食べ尽くされる」未曾有の"豚肉危機"を前に神奈川の養豚家がやっていること

“豚肉大国”中国が世界中の飼料を爆買い

現在、中国における豚肉は、食肉生産の7割を占める“最もポピュラーなお肉”である。
その豚肉は、輸入量・生産量ともに中国が世界一だ。
国家統計局によれば、2021年、中国では6億7128万頭の豚が出荷され、今では世界最大の養豚大国となった。

豚を育てるには、餌となるトウモロコシが必要だ。
中国にとって輸入トウモロコシは欠かせない飼料であり、その価格が高騰すれば、養豚業界が打撃を受ける。
案の定、2022年2月第4週、中国の養豚業界から悲鳴が上がった。
2月24日にロシアがウクライナに侵攻すると、たちまちトウモロコシの価格が高騰したのだ。
4月下旬、トウモロコシの国際価格は最高値に迫った。

世界中でトウモロコシの争奪戦に

中国は昨年、2836万トンのトウモロコシを輸入した。最大の輸入相手国は米国で、2014~19年は毎年100トン未満と低く推移したが、
2020年から急増し、2021年には全輸入量の7割に相当する1983万トンを米国から調達した。
第2位の輸入相手国はウクライナで、同年全輸入量の3割に相当する823万トンを輸入した。

一方で、日本も輸入トウモロコシの6割超を米国に依存しているが、
トウモロコシの全輸入量は2020年で1577万トン、2021年で1524万トン(数字は農林水産省)と減少する傾向にある。

資源・食糧問題研究所の代表で、『中国のブタが世界を動かす』(毎日新聞社)の著者でもある柴田明夫代表は、
「中国が輸入を急増させているのとは対照的に、日本のトウモロコシ輸入量は減っており、
価格が高騰する中で『日本の買う力』が失われているともいえます。
今後、中国と競合するようになれば、争奪戦に巻き込まれる可能性さえあります」と語る。
https://president.jp/articles/-/57755