雌と同居した雄は余分な脂肪を減らせる 血液から検出されたのは…黒豚の生産性向上へ鹿児島県職員が実験 | 鹿児島のニュース | 南日本新聞 | 373news.com
https://373news.com/_news/storyid/156697/
黒豚の雄と雌を同居させると、肉の余分な脂肪が減らせる-。鹿児島県畜産試験場(霧島市)の大小田勉副場長(57)が、かごしま黒豚の生産性向上についての研究成果を提示した。生産現場での活用が期待される。
豚の枝肉は重量、背脂肪の厚さ、肉質などの基準で、5段階に分けられる。上から2番目までの「特上」「上」は上物とされ、特に高く取引される。黒豚は白豚に比べて背脂肪が厚くなりやすく、肉質や味の評価が高い割に格付けは低くなってしまうのが課題だった。
去勢雄は雌に比べて厚さのコントロールが難しいため、これまでは別々に飼うのが一般的だった。実験の結果、雄と雌の比率を7対3にして同じ部屋で飼うことで、雄の背脂肪が厚くなりすぎるのを防げることが判明した。さまざまな比率を試し、最も上物率が高くなったのが7対3だった。
同居させた雄の血液を調べると、女性ホルモンのエストロゲンが検出された。これにより食欲や太りやすさに影響を与えた可能性があるという。
大小田副場長は「余計なコストをかけずに、農家の手取りを増やせるかもしれない」と期待する。
研究成果を論文にまとめ、今年、鹿児島大学大学院連合農学研究科で博士号(農学)を取得した。生産性向上のほか、かごしま黒豚のおいしさを肉質の特性から科学的に分析することも試みた。