昨年の東京五輪で銀メダルに輝いた女子バスケットボール。日本代表の活躍に感動をもらいつつ、驚いたことがあった。

他国の女子選手が、みんなワンハンド(片手)でシュートを放っていたのだ。
記者はバスケット経験者で、9歳の娘も競技を始めたばかり。「男子は片手打ち、女子は両手打ち」が常識とばかり思っていた――。
そもそも日本の女子だけがなぜ両手で打っているのだろう。各地を歩いて聞いてみた。

■世界標準はワンハンド、それでも
 
たかがシュートフォーム、されどシュートフォーム。得点を取り合うバスケットにおいて、その技術はとても大切だし、なんと言ってもシュートがリングに吸い込まれるのは気持ちがいい。
3月に東京で開かれた「第53回全国ミニバスケットボール大会」で気になるチームを見つけた。
渦潮で知られる徳島・鳴門から県代表として出場した撫養(むや)ミニバスケットボールクラブ。成績とは別に、あることで注目を集めていた。
小学2年から6年までの女子選手全員が片手でシュートを放っていたからだ。
4月末、地元での練習にお邪魔した。
新チームは部員10人。ジャンプシュートの練習で全員が黙々と片手で打ち続けている姿が新鮮に映った。
「最初はボールがなかなかリングに届かなかった。でも、ワンハンドだと相手をかわしてシュートが打てる」
そう話す6年の布施美玲さん(11)は1年前に両手から修正した。
クラブの野田和伸ヘッドコーチ(40)は就任以来、片手打ちにこだわって指導をしている。プロ選手の動画を見せ、個別にフォームを固めていくという。
「ワンハンドのほうが技術的に利点が多い。選手の将来を考えたら迷いはなかった」
バスケットのシュートにおける、片手と両手のちがいとはなんだろう。

日本バスケットボール協会(…
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