元受刑者や家族の「刑務所ラジオ」始まる 刑務所での生活や困難語る:朝日新聞デジタル
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元受刑者や受刑者の家族らが出演し、社会復帰や贖罪(しょくざい)のあり方を考えるラジオ番組「刑務所ラジオ」が東京都府中市のコミュニティ放送で始まった。出演した元受刑者は「まだまだ社会に知られていない刑務所内の生活や、出所後に直面した困難など、様々なことを伝えたい」と話す。

21日、FM局「ラジオフチューズ」のブースで、覚醒剤取締法違反罪などで2回服役した元受刑者の40代男性が収録に臨んだ。「出所後の困りごと」というテーマで話した際は、「元受刑者という偏見がある中での就職活動で、銀行口座を作るのも難しく、社会復帰のハードルが高かった」と実体験を紹介。ともに出演した弁護士は「口座や携帯電話の契約が難しいという相談はよくある。一緒に銀行で口座を作ったこともあった。相談しにくい場合もあろうが、専門職の我々を頼ってほしい」と話す。

刑務所ラジオを企画したのはNPO法人・監獄人権センターの塩田祐子さん(46)。センターでは、受刑者やその家族の相談に手紙などで応じる。「事件の当事者や家族がどんな困難に直面し、悩んでいるかはあまり知られていない。当事者が語ることで伝わるものがあると思う」。手軽に視聴できるラジオというメディアを通じて、「多くの人に聴いてもらい、考えるきっかけになれば」。

放送は6月までの予定で第2、第4月曜日の午後10時から。ラジオフチューズのエリア外でも、コミュニティFMラジオアプリ「リスラジ」で聴くことができる。(石川瀬里)