<独自>中国、日本の海洋権益阻止へ科学論文
2022/5/29 19:48

日本が国際機関に申請している国内最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)南方の大陸棚延長について、周辺の海洋調査を活発化する中国が地形的なつながりを否定する複数の科学論文を発表したことが29日、分かった。日本政府が「日本の過去の調査と比べ、最新機器を用いて広範囲・高密度で実施された」と分析したことも判明。政府内には「『科学』の力による現状変更の試み」との見方があり反証論文に基づく攻勢への警戒感が強まっている。

中国は今後、日本の延長大陸棚の設定を阻止するため、論文で示した「最新の科学的知見」に沿って反論を強めるとみられ、審査に当たる国連大陸棚限界委員会の判断で日本が劣勢に立たされるリスクが現実味を帯びる。申請内容の補強が不可欠な情勢で、延長大陸棚の設定による海底地下資源の開発権獲得に向け、再調査によるデータ取得や分析など戦略的な取り組みが急務となる。

日本政府は平成20年の大陸棚延長の申請に当たり、沖ノ鳥島から太平洋のパラオに連なる「九州・パラオ海嶺南部海域」を含む広大な海域で海上保安庁を中心に関係機関が構造探査などを実施。当時は世界最大規模とされたものの、既に10年以上が経過している。

https://www.sankei.com/article/20220529-UKVCOCHU5BP65JAT4JEOPXP3RM/