JA福井県5連の冨田勇一会長は5月25日、6月に改定される肥料の価格が前年同期と比べ
7割程度上昇するとの見通しを示した。ウクライナ侵攻を受けたロシア産肥料の
輸入停止などが高騰の要因となっており、冨田会長は「農業に与える影響は非常に大きい。
国などへ高騰対策を求めていきたい」と話した。

 福井市の福井県農業会館で開かれた定例会見で、冨田会長は「6月の価格改定で、
肥料の価格が70%ぐらい上がると予測されている。円安がさらに追い打ちをかける可能性もある」と述べた。

 農機具燃料や資材の高騰が続き、さらには肥料の大幅な価格上昇が目前に迫り、
農業を取り巻く環境は厳しさを増す。県内の農家からは「いつまでこの状況が続くのか」
「これ以上は体力が持たない」など苦悩の声が聞こえる。
 約15ヘクタールで水稲栽培する坂井市内の男性は、今春の田植え用肥料が前年比で
1袋約1千円ほど値上がりしたという。水稲だけで肥料に掛かるコストは35~40万円ほど
増えた計算だ。10月には麦の種まきも控え、「肥料高騰のインパクトは大きい。
あぜの管理など人件費が掛かる一方で、コメの値段は上がらず、トラクターの燃料費も含めると、
トリプルパンチだ」と嘆く。「肥料に頼らない有機栽培も選択肢として頭をよぎるが、手間などを考えると現実的ではない」と話す。
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1560196