福岡県久留米市の2カ所の農業用ため池で、排水口の栓が抜かれる被害が発生した。このうち1カ所は池の水がほぼ全部抜かれ、底が見える状態だ。
ため池は周囲にもあり、直ちに農業への影響は出ないが、関係者は田植えの時期を前に「少雨が続けば約1カ月分の農業用水が不足するかも」と心配する。抜かれた栓は現場に放置され、「犯行動機」は謎。県警久留米署は、水利妨害などの疑いで調べている。


現場は、いずれも同市藤山町の「神野池第2堤」と「キロメキ池」。管理する水利組合によると、組合員が28日に第2堤で複数の木栓が抜かれているのを発見。町内の他の8カ所を調べ、キロメキ池でも被害を確認した。

 神野池の第1堤(貯水量約4万トン)の被害はなかったが、それより小さい第2堤は水が約9割抜かれ、キロメキ池(同約3万トン)も約3割減ったという。いずれのため池も階段状で水位に応じて複数の排水口がある。栓が自然に抜ける状態ではなく、抜かれた栓は現場に残されたままだった。

 町内には約80戸の米農家がある。組合が2月に第2堤を確認した際は異変がなく、田植えが始まる来月10日に取水予定だった。

 署によると、市内で他に同様の被害は確認されていない。組合によると、ため池を巡るトラブルも起きていないという。組合員の一人は「農家にとって水は命。絶対に許せない」と憤っている。

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