山口県阿武町が誤って振り込んだ新型コロナウイルス対策関連の給付金4630万円が全額出金された事件で、町は30日、監督責任を問い、花田憲彦町長の月給(約70万円)を50%、中野貴夫副町長の月給(約57万円)を40%、それぞれ3か月間、減額する処分方針を発表した。誤給付に関わった出納室長を減給10分の1(3か月)の懲戒処分にする方針も示したが、処分理由は明らかにしていない。

このほか、課長級、課長補佐級の職員各1人を訓告処分、課長補佐級職員2人を厳重注意とする。町は6月9日開会予定の町議会定例会に町長、副町長の月給カットに関する条例案を提出し、可決され次第、職員の処分とともに発令する。

町は誤給付についてこれまで、出納室の職員が4月6日、低所得世帯を支援する10万円の給付金の対象463世帯のデータをまとめた際、名簿の一番上にあった田口翔容疑者(24)(電子計算機使用詐欺容疑で逮捕)の口座に全額を振り込む内容の誤った依頼書を作成し、銀行に提出したと説明していた。

花田町長は「一定程度の金の回収の 目途めど が立ち、弁護士等の調整も落ち着いてきたため、処分の方針を決定した」とのコメントを出した。

事件を巡っては、田口容疑者が給付金を決済代行業者3社などに出金し、代理人弁護士に「金は海外の数社のネットカジノで全部使った」と説明。町は3社の銀行口座を国税徴収法などに基づいて差し押さえ、取り立て処分を実施した。その結果、今月20日に約4300万円が3社から町の口座に振り込まれた。

一方、町は30日、この事件に関し、町内3か所で6月1~3日に住民説明会を開くと発表した。花田町長らが誤給付した経緯や回収状況などを説明する。

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