昨日、旨いと噂の野猿店に行ってきたんでレポ。

奇跡のロットバカンスで行列は無し!ラッキー!
意気揚々と大ブタの食件を購入。軽い会釈の前傾姿勢を保ちながらしながら店内に踏み入り、
顔をあげて、そして俺は凍りついた。
─そこに、猿がいたからだ。
客席は、ニホンザルの群れで埋まっていた。
カウンターの中にもニホンザルと、ひときわ大きな体躯のボスザルが一頭。
これが、野猿店─!
猿たちは、不意の闖入者に驚きとまどっていた。
俺は逃げ出したい恐怖に駆られたが、万物の霊長たる人類の代表としてのプライドがそれを押し止めた。
空いている席に座り、パチン!と、カウンターに食券と乗せると、猿たちがその音に反応し、ビクリとする。
怖い。早く食べて店を出たい。猿たちの恐怖と好奇が入り交じった視線が突き刺さる。
ふと、隣のロッター(猿)が、俺に食べかけのサツマイモを差し出してきた。
断れば何をされるかわからない。やむなくその生のサツマイモをかじっていると、店主猿が俺に向かって話しかけてきた。
「ウキッ、キキッキ、ムキャ?」
さっぱりわからない。が、恐らくトッピングを訊かれているのだろうと思い、
「ヤサイ少な目、ニンニクヌキカラメで。」と答えると、
「ムキャッ。」理解したというふうで、店主がトッピングを始める。

ほどなく、俺の前に大ブタ麺マシヤサイマシマシニンニクチョモランマの二郎が置かれた。
どんな味だろうと、なんとしても完食せねばならない!
猿たちに挙動を注意深く見守られつつ、南無三!と箸をズブリと突き入れ、麺と野菜とブタをまとめて頬張る。

あ……「おいしい。」
思わず言葉が漏れる。
と、店の中の猿たちが一斉に手を叩いて喜び跳ねはじめた。店主猿も助手猿も、腕組みし満足げに頷いている。
頭によじのぼってきて悪戯する子猿に邪魔されつつも完食し、
手を振り俺を見送る猿たちに何度も会釈しつつ、帰路についた。本当に旨かった。だけど多分もう行かない。