「外国籍取得で日本国籍喪失は違憲」 米で活動の弁護士が国提訴(毎日新聞)
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外国籍を取得すると日本国籍を失うと定めた国籍法の規定は「国籍離脱の自由」を保障した憲法に反するなどとして、渡米して米国籍を取った近藤ユリさん(75)が2日、国に対し自身に日本国籍があることを認め、日本の旅券(パスポート)の更新を拒否した処分を無効とするよう求める訴訟を福岡地裁に起こした。日米を行き来しながら米アリゾナ州で弁護士をしている近藤さんは、同様の相談を多数の在外邦人から受けてきたとして「私自身のためだけではなく、多くの人のために制度を変えるべきだ」と訴えた。
訴状などによると、近藤さんは1947年に神奈川県で生まれ、71年に進学のため渡米して永住権(グリーンカード)を取得。日米を行き来しながら、97年に同州で弁護士業務を始めた。米大統領選での投票を希望したことや税務上の不利益があるため、2004年に米国籍を取得。その後も日本のパスポートは使え、再発給もされたが、17年に更新手続きをしたところ、米国籍を得て日本国籍が喪失したとして拒否された。
近藤さんは自身が高齢になったとして福岡県糸島市の自宅で暮らすことを望んでいるが、新型コロナウイルスの感染対策で日米の行き来が制限され、日本を出国すると戻れなくなる可能性があると主張。国籍法の規定は時代遅れで憲法に反するとして、慰謝料22万円も求めている。福岡市内で同日記者会見した近藤さんは「米国の自宅には2年以上帰れておらず不便は多い。制度を知らずに外国籍を取得して日本国籍を失った在外邦人も多く、国の周知不足もある」と主張した。
同種の訴訟は全国で3例目とみられる。欧州在住の男女8人による訴訟では、21年1月の東京地裁判決で国籍法の規定を「合憲」として請求が棄却(原告側が控訴)された。欧州では複数の国籍を取得できる国が多い一方、中国は基本的に認めていない。【平塚雄太】