民意は届きそうにない。

 2日、札幌市議会の経済観光委員会で、2030年冬季五輪招致の是非を問う住民投票案が審議された。この案は共産党札幌市議団などが提案したが、多数派の自民、民主市民連合らが反対。本会議でも否決される見通しだという。

 札幌市が行った五輪招致の意向調査では「賛成」が52%、「反対」39%と、賛成は過半数のボーダーラインスレスレ。
一部では誘導的な調査もあったとされ、数字の信憑性も疑われていた。「やられちゃマズイ」というのがお役人たちの本音だろう。

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は呆れてこう言う。

「住民投票を拒絶するというのは、反対派が多いことが分かっていることの裏返し。札幌市民は、東京五輪での反省なくしてもう手を挙げるのかという不安が強かったはず。
5月に『札幌五輪招致プロモーション委員会』を立ち上げたのも、そんな市民の反対意見が多いことへの焦りからでしょう。
意向調査も東京五輪の決算が出る前にやってしまえという意図がミエミエ。姑息というほかありません。
海外では五輪招致における住民投票はスタンダードな流れ。それすらやらず、民意を無視し続ける札幌市には不誠実さしか感じません」

 共産党市議団の小形香織幹事長が「海外では五輪招致の賛否を問う住民投票が行われている例も多い」と言及。国内でも過去の五輪招致で民意を問う投票が行われたケースは少なくないが、五輪推進派が民意を避け続ける理由はそこにある。

 2015年には、24年夏季五輪(パリに決定)招致をめぐり、ドイツのハンブルクで住民投票が行われ、反対多数で名乗りを取り下げ。米国ボストンでも開催反対の意見が強まり、招致を見送った。
22年冬季五輪(北京で開催)の招致ではこれもドイツのミュンヘンで市民の反対運動が起きて招致を断念。18年には26年冬季五輪(ミラノに決定)の招致に関して、スイスのバレー州が住民投票を行い、反対票54%で招致活動から撤退した。

 札幌市は意地でも民意に耳を貸す気はなさそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a841ac92d755013e53b38d2086314c1cab3eac4a