安産・子育ての神が祀られ、国の重要文化財に指定されている雑司ヶ谷鬼子母神堂の境内に、駄菓子店「上川口屋」はある。
趣のある木造の建物は自宅を兼ねており、13代目の店主・内山雅代さん(82歳)は、祖母、伯母から受け継いだ店をひとりで切り盛りしている。
「ウチは今年で241年目。関東大震災でも東京大空襲でも奇跡的に無傷だったんですよ」
うまい棒、仕入れるのをやめた
ハキハキと明るい口調で内山さんが話す。しかしこの春、思いがけない値上げが同店を襲った。
人気の駄菓子「うまい棒」が、商品誕生から42年で初めて価格を改定し、4月1日出荷分より2円値上げしたのだ。
これを機に、上川口屋からはうまい棒が消えた。
「1本10円というわかりやすい値段だったこともあり、うまい棒はウチでも売れ筋でした。
ですが1本12円になると、店では消費税をかけて13円で売ることになる。あまりにも勘定が厄介だから、仕入れるのをきっぱりやめました」
駄菓子の場合、商品の仕入れ値は小売価格の約80%。小売価格12円のうまい棒なら仕入れ値は9.6円となり税込み13円で売れても利益は3.4円しかない。
人気商品の扱いをやめるのは名残惜しいが、現金支払いが基本の駄菓子屋では利益に見合わぬ手間がかかる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/92997214b699f121c7e4da214426948351f44b28