コインパーキング放置車両相次ぐ オーナー困惑、現状やられ損 
6/10(金) 6:00配信

 仙台市中心部のコインパーキングで、長期間駐車されたままの車が相次いで見つかっている。高額の駐車料金を請求をできると思いきや、困っているのは駐車場のオーナーの方だという。背景を取材すると、法の壁を前に立ち往生するオーナーらのジレンマが浮かび上がる。

■民事不介入で警察取り合わず 迅速撤去へ「法規制を」

 米国シボレー社のスポーツカー「カマロ」は、白い車体が黒ずみ、自走できなくなっていた。青葉区の駐車場に9年間、放置された車の撤去作業が6日、行われた。

 パンクしたタイヤを交換し、ハンドルロックとブレーキを解除し、作業員が車を駐車場から押し出す。待機したレッカー車がワイヤで車を引き揚げ、作業は終了した。費用は数十万円。カマロは廃棄予定だ。

 「長かったですね。何もしないでいた訳ではないんですよ」。撤去に向けた事務作業に携わった業者の担当者が振り返る。

 担当者によると、仙台北署に相談したが、最初は「民事不介入」を理由に取り合ってもらえなかったという。裁判を起こして強制執行することもできたが「犯罪に関係している車かもしれず、警察の確認が必要だった」

 事態が進展したのは2020年末。北署から盗難車などではないとの回答を得て、運輸支局や法務局などを回り、所有者を特定した。訴訟準備を進めていたところ、北署が5月に所有者の男を威力業務妨害の疑いで逮捕した。

 単純計算で駐車料金は9年間で約四百数十万円。示談が成立し、男は不起訴になった。

 青葉区の別の駐車場に半年近く放置されている軽ワゴンは、車内の部品が外されており「止め逃げ」の可能性が濃厚だ。この場合でも裁判手続きなしに撤去や処分はできない。

 放置車両対策を手がける国内最大手の東京都の業者によると、裁判手続きを経て撤去するまでに弁護士費用を含めて50万~100万円かかるという。「車自体が無価値のことが多いため、オーナー側がコストだけがかかる対応を先送りにして、放置期間が長くなってしまうこともある」という。

 仙台市の駐車場管理会社の担当者は「現状はやられ損。法改正などで低コストで迅速な対応ができるようにしてほしい」と話した。

河北新報

コインパーキングに放置されている軽ワゴン車=仙台市青葉区
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